植物 × エンジニア -エンジニアが植物育成に夢中になる理由-

植物 × エンジニア ~エンジニアが植物育成に夢中になる理由~

こんにちは。RightTouchでエンジニアをしている追木です。

「植物の成長はT2D3である」

皆さんはこの言葉を聞いて、何のことか分かるでしょうか。

コロナ禍をきっかけに多くのエンジニアが園芸にハマっています。

普段はプログラミングに没頭する彼らが、なぜ植物に夢中になるのか?

「植物沼」にハマったエンジニアのcomさん、aaronさんに実際に話を聞いてみると、そこにはいろいろな魅力がありました。

自宅が、気づけば植物園に

屋上への憧れから始まった家庭菜園

「みんな家庭菜園ってしたくなりますよね?」 と話し始めたcomさん。

コロナ禍で、せっかくの自宅の屋上スペースを活用したいと考えたのがきっかけでした。

祖父母が農家だったこともあり、まずは家庭菜園からスタート。

実は私達が普段スーパーマーケットで購入している食材は、膨大な品種の中のほんの一握りに集中しています。 様々な園芸動画を見てるとできすぎなるなる羅王など、面白い品種がたくさんあることに気づきました。 名前も見た目も個性豊かな品種たちに惹かれ、comさんはそこから一気に植物の世界に引き込まれます。

(実はタネログというタネレビューサイトを作ったりしました笑)

しかしながら、家庭菜園を楽しんでいると、とある大きな問題に直面します。冬です。

家庭菜園だけだと冬季に育てられる野菜は限られます。

冬の間何もできない喪失感にかられたcomさんはさらに広い世界に足を踏み入れることになります。

鶴仙園での衝撃的な出会い

池袋の鶴仙園を訪れたcomさん。

そこで運命の出会いが待っていました。 それはリトープスという多肉植物です。

タネから育てたリトープス
鶴仙園で買ったお気に入りの個体

「リトープスを初めて見た時はマジで衝撃でした。見た目は石ころなのに生きてる植物。しかも脱皮を繰り返しながら成長するという珍奇な性質です。サボテンのイメージしかなかった多肉植物の世界に、こんなにも多様な種があることを知って、一気に引き込まれちゃいました。」

確かにちょっと衝撃的な見た目です・・・。

ベランダから始まった多肉沼

一方、aaronさんもコロナ禍にマンションを購入。

恵まれたベランダスペースを有効活用したいと思い、近くのホームセンターを訪れました。

アロエなどをいろいろ手に入れる中で、月兎耳(つきとじ)っていう多肉植物と出会い、衝撃を受けます。

「ふわふわした毛に覆われた葉っぱがとても可愛くて、それがきっかけで色々集めるようになりました。気づけばベランダは植物でいっぱいに(笑)。 若い頃は植物なんてダサいと思ってたのに、いつの間にか植物キャラになっていて、前の職場の同僚に驚かれました。

月兎耳
ベランダの植物たち

二人ともほぼ同じタイミングで園芸を始めてからどんどん植物の奥深い世界にハマり、まだまだ飽きる気配はないようです。

エンジニアが植物にハマる3つのポイント

ここで、なぜエンジニアが植物にハマるのかを二人に聞いてみました。

植物の成長はT2D3である

「植物って本当にT2D3で成長してくれるので、メンタルにとてもいいんです。植物も最初は変化が見えなくて不安になるけど、軌道に乗ると突然成長するタイミングがあって。これってプロダクトがクローズドβからMVPを迎えて急激に成長していくような過程を想起させますよね。」と語るのはcomさん。

T2D3とは、スタートアップが理想とする「最初の数年で急激に企業として成長することを目標とする」曲線のこと。

最初はゆっくり根を張り、ある時点から急激に成長し、やがて安定期に入る。

この成長曲線を見守る喜びは、プロダクトの成長を見守るのと同じである、ということのようです。

育成はまるでDevOps

さらに、植物育成のサイクルはDevOpsとかなり近いところがあると語る二人。

あえて既存の用語に当てはめるとこんな対応になるそうです。

  • リリース&デプロイ(Release & Deploy) → 植え付け・植え替え実施
  • 運用(Operate) → 日々の水やり・手入れ
  • モニタリング(Monitor) → 成長観察・健康状態チェック

comさん「冬場は『水を切る』って言って、水やりを控えるのが定石なんです。そうするとシワシワになっちゃうんですけど、多肉植物は耐性があるから、それが正しい。」

実際最初は怖くて大事にしすぎるあまり、水分過多により枯死させてしまうことも少なくないらしいです。

感覚よりもデータに基づいた判断が必要になるというのもエンジニアリングと一緒ですね。

ライブラリのような品種の多様性

comさんが植物にハマったきっかけでもある品種の豊富さ。

多肉植物珍奇植物 に明確な定義はなく、乾燥に強く肉厚な葉・茎を持っていたり、見た目が奇妙だったする植物たちの便宜的な総称にすぎないそうです。

そのため、同じ種別でも驚くほど多様な形状や特性、色のバリエーションを持った多様な種が存在します。

aaronさんは冒頭で紹介したリトープスのような「メセン」類を特に好んで収集していますが、メセンの中だけでも無限に思えるほどのバリエーションが存在していて、それに特化したコミュニティがあるほどだそうです。

自然に発生した「原種」以外にも、人手で交配した交配種を含めると本当に無限の可能性があって、まさに無限にあるライブラリから自由に選ぶような感覚ですね。

ここで提供してもらった「メセン」コレクションの画像をぺたり。

筆者にとってはどれもハリーポッターの呪文としか思えません。

フィロボリス・アマビレ
コノフィツム・レスルゲンス
アロイノプシス・スクーネーシー

comさん / aaronさんの推し植物

閑話休題。ここで二人の「推し植物」を紹介します。

comさんの推し:フェネストラリア・五十鈴玉、モンソニア ムルチフィダ

フェネストラリア・五十鈴玉
モンソニア ムルチフィダ

aaronさんの推し:蓬莱宮

「ころんと丸くて青白いボディに、先だけちょこっと黒い棘。花が咲くと圧巻。蓬莱グゥー👍」とのこと。

蓬莱宮
蓬莱宮(花が咲いた状態)

植物育成をハックする

テクノロジーで解決する楽しさ

次にエンジニアならではの植物育成の楽しみ方について聞いてみました。

部屋の構造や配置、日光のあたり方など多くの変数があることで既存の商品だとマッチしないケースも多く、いろんな素材を集めてDIYすることが多いそうです。

日照時間に関しても、LEDを設置してあえて屋内で育てることで解消したりもするそう。同じ植物育成でも取り巻く環境によって手法を変える必要性など、幅広さがよくわかります。

植物の1株1株をWebアプリケーションで管理できるようにして、最後に水やりをした日や植え替えのタイミングなどを記録したり、照明のオンオフや輝度などを自動調整したりなどテクノロジーで解決できるポイントもたくさんあるそうです。

書斎の一角に設られた栽培ゾーン
書斎の一角に設られた栽培ゾーン

細かなハックの積み重ね

「エンジニアリングで解決するのも楽しいけど、個人的にはちょっとしたハックの積み重ねが結構楽しい」と語るcomさん。

具体的にはこのようなことをしているようです。

  • ラックの配置を工夫して収納効率UP
  • 水やり時間短縮のため、育苗トレイと水圧ポンプを導入
  • 手袋の選定(ビニール vs 工事用)

植物の種類に特化したハックもあるようで、成長の遅いサボテンを他のサボテンの上にくっつけることで1種類だとボトルネックになる部分を解消するなどの手法もあるらしいです。奥深い。

推しアイドルならぬ「推し植物」の世界

エンジニアコミュニティと似た文化

上述しましたが、1つの品種とってもかなりの多様性があり、品種ごとにコミュニティが分かれているそうです。

それらによく参加するaaronさんとしては、下記の点に魅力を感じているそうです。

  • 同じプログラミング言語を好む人同士での交流しているような感覚
  • 自分が見つけた手法や試行錯誤をシェアし合うのが楽しい
  • 正解のない領域で意見交換する面白さ

筆者的にはややハードルが高そうだなと感じましたが、きっとラフな場なのでしょう。

資産が増えていく感覚

育てた植物には価値があるという話も興味深いポイントです。

同じ品種でも100均から専門店まで幅広く売られていたり、極端には落ちていた葉っぱを土に刺しておけば、そこからぐわーっと増殖させたりすることもできるそうです。

葉挿しで増やした植物

盆栽の世界には「持ち込み」という時間をかけて作り込んでいくことで価値が生まれることを意味する用語がありますが、多肉植物もじっくり時間をかけて育てることで価値のあるコレクションを育てることができ、資産を増やす感覚に近いそうです。

エンジニアリングに活きる園芸の教訓

普段植物を育てる中でエンジニアリングに活かせる教訓を聞いてみると、色々出てきたのでアラカルト的に紹介します。

過度な最適化は逆効果

「完璧な環境を作ろうとして、温度も湿度も照明も全部自動制御にしたんです。でも植物って、ちょっとしたストレスがあった方が強く育つんですよね。過保護にしすぎた結果、ひょろひょろの弱い子になっちゃって」と語るcomさん。

コードのリファクタリングと同じで、やりすぎは禁物みたいです。

YAGNI原則の実践

「最初からでかくなる想定で大きな植木鉢を用意すべからず」

大きすぎる鉢で栽培すると水分過多になったり、栄養が分散して逆に成長が遅くなるということがあるそうです・

必要になってから対応する。まさにYAGNI(You Aren't Gonna Need It)の実践です。

継続的な監視の重要性

「軌道に乗って守りに入っても、監視は必要。」

普段プロダクト開発をする際の本番環境と同じで、安定してるように見えてもモニタリングは必要。

植物も観察を怠ると、気づいたら手遅れになっていることもありそうです。

セキュリティ意識

「植物は動物と違って一度虫食いなどで痛むと、その部分は二度と回復しないんです」

なので害虫対策など予防が何より大切。これが本当のデバッグ(de-bug)かも。

おわりに

今回は植物沼にハマっているエンジニア二人に話を聞いてみました。

「植物にはコードを書く時の集中力とは違う、ゆったりとした時間の流れがある。」と口を揃えて語っていたのが筆者にはすごく印象的でした。

もしあなたが今、日々のエンジニアリングに疲れを感じているなら、週末に近くの園芸店を覗いてみてはどうでしょうか。

100円ショップから始まる奥深い世界が、きっとあなたを待っています。

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