セ。〜センター見学の学びについて〜

はじめに

こんにちは。アニメでチ。を見てつい原作まで買ってしまったRightTouchでCustomerEngineerをしている川下です。

早いもので、入社直後にブログ記事を書いてから半年以上が経過しました。
半年というと、漬け始めた梅酒がもう飲み頃になっているくらいの期間です。梅酒を漬けたことはないのでわかりませんが。

今回、テックブログを運営しているメンバーから「エンジニアがコンタクトセンター見学(以後、「センター見学」)をして感じたことについて書いてほしい」という依頼があり、久々に筆を取りました。

前回は試用期間中の執筆だったため下手なことはかけませんでしたが、無事試用期間を乗り越え自由を手にしたこの身は、自由な文体でこのブログという大空を飛び回りたいと疼いております。

ということで、旅を始めましょう。

そもそもなぜセンター見学をしてるのか?

飛び立つ前に、まずはビジネスマンらしく前提と目的の整理からです。

弊社では月~2回程度の頻度で、クライアントに依頼しコンタクトセンター見学をさせていただいています。

クライアントの電話応対やチャット応対のログを見せてもらったり、実際にオペレーターの方が応対をされているデスクやPCの画面を見せてもらったりと、内容はまちまちですが毎回顧客対応されている現場を見るということをさせてもらっています。
※もちろん、情報管理には十二分に気をつけた上で実施しています

1回の見学でお邪魔する人数は数人程度ですが、このセンター見学には職種関係なく参加しています。

セールスもサクセスもエンジニアもアクセラレーター(管理部門の弊社での名称)も、全員等しく参加します。 それも1回で終わりではなく、何度も異なるクライアントのセンター見学に行くのが通例です。

目的はいくつかありますが、やはり質と量に優れた一次情報を取るためという点は大きいです。
端的に言うと、センター見学をするとクライアント(とマーケット)の解像度が爆上がりするから行くのです。

事業を進める上で、マーケットの解像度は極めて重要です。

プロダクトを作るにしても、「このプロダクトは誰が、どんな場面で、どんな思いで使うのか?」を具体的にイメージできなければ、使い道のないプロダクトができてしまいます。

プロダクトを届けるにしても、「クライアントのどの業務を代替/改善するのか?」を具体的にイメージできなければ、プロダクトを運用に乗せることはできません。

常に使う人がいる以上、その人が普段何をしていて、どんなことで困っているのかをとにかく知ることが、価値を提供するためには欠かせないのです。

そしてその「クライアントをとにかく知る」ために一番良いのは、現場を直接見に行って一次情報を得ることです。

現場の方にお時間を割いていただきリアルな声を聞くことで理解を深め、そして深めた理解をプロダクトを通して価値に変換しクライアントに還元するために弊社はセンター見学を続けています。

助走が長くなりましたが、ようやく飛び立つ時が来ました。

プロローグ

某月某日、三田。
ラーメン二郎 三田本店の吐き出す濃厚な香りが微かに届く小さなテナントビルの5階で、歓喜の声が響いた。

「え!?ようやく自分の番ですか!!?」

入社から数ヶ月、想いを募らせてきたセンター見学に、漸く参加できる時が来たのだ。

思えば、永かった。入社当初抱いていた「今時はノンボイス対応(チャット対応)もあるしコールセンターよりコンタクトセンターといった方が正しいのかな?」という些細な疑問が、時の流れの中で忘れ去られていくほどに—

今回の訪問先は某生命保険会社様のオフィス。

あの大手保険会社の現場を見せていただけるのか。筆者の心は昂った。

参加が決まってからの筆者の動きは、速かった。何の備えも無しに、その日を迎える訳にはいかない。貴重な時間を割いていただく以上、こちらも入念な準備は欠かせない。徹底的なリサーチをせねばなるまい。

センター見学の準備で抑えるべきは、クライアントの基本戦略・現在の進捗率・弊社プロダクトの導入/活用状況・抱えている課題など数多くある。
また、失礼が無いようセンターの一般的な事情も把握しておく必要があるだろう。

社内にある過去の見学ログを読み漁りセンターの一般的な事情を把握し、さらに担当サクセスによるクライアントの現状共有により、必要な知識をインストールしていく。

これらの工程を経て、出来上がった質問リストは40個。どうしよう、こんなに質問する時間あるかな?知らないこと、知りたいことだらけだ・・・

当日

センター概要についてのご説明

モチベーションは最高潮に、いざ先方オフィスへ。時刻は14時を回った頃。
エントランスでの簡単なご挨拶の後、早速会議室へ通していただく。
名刺交換の後、30分程度でまずは先方コンタクトセンターの概要についてご教示いただく。

【内容】

センター全体として取り組んでいるテーマ、拠点(東京/地方エリア)ごとの差異、インバウンド/アウトバウンドそれぞれのコールフローや体制等についてのご説明。
その後、Q&A。

【感じたこと】

部署を跨いだ対応も少なくないため応対の後に引き継ぎ書を作成されているが、新人の方はこの作成に手間取ることがあったり、Voicebotの対応でも文字起こしミスがあるため人が起票していたりと、所々に「痒いところ」があることを実感。

フルスキルな人材が育つまでは1年以上はかかると言うお話もあり、改めてコンタクトセンターの業務の幅の広さと深さを痛感しました。

応対ログの確認

概要をお話しいただいたあとは、同じく30分ほどを使って(個人が特定できないよう十分なマスキングを施した)応対ログをもとに、どういった応対をされているかをご教示いただく。

【内容】

それぞれ異なるお問い合わせ内容での入電への対応。
どちらも用件把握の後本人確認、手続き内容のご説明。
その後、Q&A。

【感じたこと】

お客様の問い合わせ内容や音声のトーンに合わせて話し方を変えているベテランオペレーターの手腕は流石と言う他ありませんでした。

今回紹介いただいた応対はどちらもVoicebotで代替可能な内容には感じましたが、音声トーンなどの「お客様に寄り添った応対」という点において人とボットとの圧倒的な差を感じました。

プロダクト開発の際はつい分かりやすい機能に目を向けてしまいますが、特に弊社がターゲットとしているカスタマーサポート市場においてはこういった「お客様の快さ」を重視する必要があると再認識できました。

モニター、利用ツールを見せていただく

その後場所を移し、実際に応対をしている執務エリアへ。
入電音とオペレーターの方の話し声が微かに聞こえる中で、実際に使っているPCを元に操作方法をご説明していただく。

【内容】

普段使っているツールのご説明、入電時の操作の流れや応対中のツールの使い方などのレクチャー。
その後、Q&A。

【感じたこと】

自社構築のツールを使われているとのことでしたが、お客様との会話中に応対用画面とCRMと社内ナレッジを行ったり来たりと、業務難度が高いことが感じられました。
逆に言えば、センターとしての教育レベルが相当に高いことが伺えました。

ナレッジ管理についてご説明

最後に、再度会議室に戻りナレッジ管理についてご教示いただく。

【内容】

業務項目ごとの対応スクリプトの概要や管理・更新方法、オペレーターの教育についてなどのインプット。
その後、Q&A。

【感じたこと】

「これが応対に必要な社内ナレッジの全てです」とお渡しいただいたマニュアルは、誇張抜きで広辞苑より大きかったです。そしてSVレベルになるとこの内容をほぼ全て記憶しているとのこと。凄すぎて若干の恐怖を感じました。

社内一般用・オペレーター用で同じ内容の記事を別々で管理していたりと、マニュアルの維持管理でもかなりの工数がかかっていることが伺えるため、これをITの力で楽にして本来充てるべきところにリソースを投下できるような貢献をしたいと思いました。

エピローグ

文体が変わるレベルで、驚きと学びの連続でした。
確かに、デジタル化が進んでいない部分があったり、AIの導入でもっと楽にできる余地は大いにあるように感じます。

その反面、ただツールを統合したりSaaSを導入するだけでは解決できない問題があるということも同時に実感しました。

例えば、社内ナレッジを統合すれば二重管理の手間が減るため大きな工数削減ができるかもしれません。
しかし、そうするとオペレーターがナレッジを読み解くのに時間がかかるようになり、それはAHTの増加につながり、ひいては待ち呼の増加などの顧客体験の悪化につながります。

我々SaaS提供企業は、ただ表面的な課題に対して解決策としてのプロダクトを提示するのではなく、クライアントのその先のエンドユーザーにまで寄り添っていかなければ、本当の意味でサポートの負の体験をなくすことはできないのだと痛感しました。

今回の見学では実際の現場を知ることで、弊社プロダクトがどう活きているか、どう活かせるかを深く知るとても良い機会となりました。
帰り道ではサクセスメンバーと「このプロダクトは入れてもらえたら絶対体験が良くなるから提案してほしい」「しかしそうするとこういったリスクが想定できるからどう乗り越えるべきか」など熱い話を繰り広げるまでに至りました。

後日談。

と言うか、今回のオチ─

年末から自分はカスタマーエンジニアとして、Voicebotのプロダクト立ち上げに関わっています。
Voicebotは新プロダクトなので、方針の話などにも同席していますが、この見学の経験が確実に活きています

例えば、応対の基本的な流れやVoicebotを組み込んだ際のクライアントの業務フロー検討・Voicebotで発生するACW※など。実際の応対の流れを知っていることで、そこから想像力を膨らませて運用に落とし込んだ際の体験もイメージすることができるようになりました。
※After Call Work(平均後処理時間)。顧客との通話後にオペレーターが行う作業にかかる時間の平均のこと

たった1回の見学で充分な解像度が確保できたとは考えていませんが、それでもこの経験に助けられることは多くあります。

これからも、ただ「クライアントのコスト削減に貢献できるVoicebot」ではなく、「クライアントにとってもエンドユーザーにとっても最高の体験を提供できるVoicebot」を作り、届けていきたいと思っています。

是非、この記事を読まれているあなたも、もしまだであればクライアントの現場に足を運んでみてください。豊富な一次情報を持っているのとそうでないのとでは、極めて大きな差があることをその身を以て体験できるでしょう。

オマケ(これで本当に終わりです)

クライアントのオフィスのある街はスイーツで有名だと聞き、早めに現地入りしてランチとティータイムを楽しんでからセンター見学に赴きました。
この梯子のお陰で、最高のモチベーションと集中力によりセンター見学を120%のパフォーマンスで迎えることができました。

弊社の次のオフィス移転先はこんなオシャレなお店がある街だといいなぁ。

【内容】

ランチ:手作りボルシチとピロシキ(どっちも人生初)。どちらもアツアツ作りたて。最高。

手作りボルシチとピロシキ

デザート:おしゃれなカフェで紅茶と一緒にショートケーキを。何だこのショートケーキは。おしゃれすぎんだろ・・・!

ショートケーキ

【感じたこと】

とっても美味しかったです。流石スイーツとロシア料理の街。
けどボルシチは熱々すぎて舌が火傷しました。痛かったです。

最後まで読んでくださりありがとうございました。

皆様も、どうかボルシチを食べる時は火傷にお気をつけて。

最後に

RightTouchではカスタマーサポート市場を一緒に動かす仲間を絶賛募集中です。
少しでも興味を持った方がいればぜひお話ししましょう!

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