高速でプロダクトの価値を検証せよ——RightTouch流コンパウンド事業立ち上げの勝ち筋

RightTouchは、プレイドからスピンオフしたスタートアップで、カスタマーサポート領域向けのWebサポートプラットフォーム「RightSupport by KARTE(以後、RightSupport)」「RightConnect by KARTE(以後、RightConnect)」などを提供しています。

カスタマーサポート領域の抜本的変革に挑んでいるRightTouchは、複数プロダクトを提供するコンパウンドスタートアップとして、常に新たな事業、プロダクトの開発に向けて動いています。今回の記事では、α版がリリース済みであり、今後正式版のリリースを予定するフェーズのプロダクトに焦点を当てます。

約1ヶ月という超短期間で一つのプロダクト開発に携わったという新規事業開発の田中(akky)、エンジニアの齋藤(nari)、赤木(giinyo)の3人にインタビュー。“RightTouch流”コンパウンド戦略、そしてビジネスサイドと開発サイドとの圧倒的な信頼関係をもとに、高速でプロダクト開発をどのように実現したのか話を聞きました。

<プロフィール>
田中 彬寛/akky(たなか あきひろ)

九州大学工学部機械航空工学科卒業後、2017年にリクルートホールディングス入社。プロダクトグロースや事業戦略策定/実行、全社横断ナレッジ統括などに従事。 2022年にRightTouch入社、セールス及びカスタマーサクセスのリード/BizDevを担当。好きな言葉は「ロマンとそろばん」。趣味はサウナ、ポーカー、アニメ。

齋藤 成之/nari(さいとう なりゆき)
東京大学大学院で博士課程修了後、2020年に日立製作所に入社。研究開発部門で業務システム開発に関する業務に従事。2021年10月プレイドに入社し、現在はRightTouchのテックリードとして開発に携わる。

赤木 勇統/giinyo (あかぎ ゆうと)
大阪大学大学院を修了後はPhotosynthに新卒入社。主にAkerun入退室管理システムの開発に従事。新たな挑戦がしたいという想いがあり、2024年1月にRightTouchへ転職。RightTouchでは、RightSupportの開発担当を経て、新規プロダクトチームへジョイン。

左から田中(akky)、赤木(giinyo)、齋藤(nari)

既存顧客との活動から新たなプロダクトの課題仮説と可能性を模索する

——「今回の新規プロダクトの詳細についてはまだ秘密…」と伺っていますが、どのようなアイディアがきっかけで開発に至ったのか教えていただけますか?

akky:今回の開発のきっかけに言及する前置きになりますが、アイディアを形にして、市場で仮説検証を行い、事業やプロダクトに還元する。このサイクルを高速で回していくことこそ、初期から複数プロダクトを並列で立ち上げていくコンパウンド型の事業成長においてもっとも大切だと思っています。だから、セールスやカスタマーサクセスの活動をしながらも常に新規事業の可能性を模索していました。

——今回の新規事業における「課題の特定や事業の方向性」はどのように決定していったのでしょうか?

akky:これまでRightTouchでカスタマーサクセス、事業開発を行ってきた知見から、カスタマーサポート領域で優位性を築くために“絶対に押さえなければいけないデータ”があることはわかっていました。

その上で、2023年秋ごろから10社ほどのクライアントのもとに足を運び、カスタマーサポートの業務全体を通じてどんな困りごとを抱えているのか、RightTouchとしてどんな打ち手があるかヒアリングし、新規事業の解像度を高めていきました。

ヒアリングを通して共通して出た課題意識を、新規事業の「What(何を解決するのか)」として設定することに決めました。

BizDev 田中(akky)


——最初はチームではなく、一人で進めていたのですね。

akky:はい。「How(どのように解決するか)」を検討するため、パワーポイントに簡易的にアイディアを落とし込み、クライアントにプレゼンを行って仮説を当てていきました。このあたりから、エンジニアのnariくんにも協力してもらい、技術的な観点でフィードバックをもらっていきました。

nari:実は、当初は新規プロダクトという形ではなく、クライアントからデータをもらって加工する受託開発として進めていたんです。

その過程で、技術的な検証や提供価値の検証は、一定できました。しかし「本当に使いやすい形でプロダクトとして提供できるのか?」「継続して使ってもらえるのか?」といった、プロダクト化にあたって重要な論点は残っていました。もちろん、モノを作らずにこれらの論点を検証することもできたかもしれませんが、新規プロダクトとして開発に本腰を入れた方が良い、という経営判断もあり、2024年4月にエンジニアのgiinyoも含めたプロジェクトチームを組成しました。

——そこから、どのようなプロセスを経たのでしょうか?

nari:私はチームを組成直後から、まずは自分自身がこの新規プロダクトにフルコミットできるようリソース調整を行いました。akkyのおかげで大まかなアウトプットのイメージはできていたので、クライアントからもらった細かな要望や意見をもとに、MVP(Minimum Viable Product)を作ることに注力していきました。

akky:MVPを作るにあたって、「カスタマーサポートの現場で働く方々がきちんと活用できるもの」をゴールに設定しました。過去の経験から、コールセンターの皆さんは非常に膨大な量の問い合わせデータと向き合っていますが、ITツールに慣れていない方も多いと感じています。

プロダクトを作っても、日常的に活用してもらえなければ意味がない。そこで、実際の使用イメージが湧くように、デザイナーのkimさんにも加わってもらい、MVPに沿ったデザインや、フロントエンド、バックエンドまで作り込みました。

テックリード 齋藤(nari)

「共通開発基盤」と「リファレンスカスタマー」がコンパウンドの鍵

——チームを組んでから約1ヶ月という短期間でMVPを完成したと伺いました。そこまでのスピード感が出せたのはなぜですか?

akky:大きく3つ要因があると思っています。

一つは、コンパウンドスタートアップならではの強みだと思いますが、「共通開発基盤」と「リファレンスカスタマー」の存在です。

ゼロイチの開発といっても、すでにRightTouchで築き上げてきたフレームワークやリファレンスカスタマー(RightTouch既存プロダクトを導入・利用してくださっている代表的な企業)との信頼関係があるからこそ、ここまでのスピード感をもって開発に集中できたのだと思っていて。

特に大企業の部長・役員クラスともすぐにコミュニケーションがとれるのは、カスタマーサポートという非常に規模と影響範囲の大きな領域に向き合う上で大きな優位性となっていると感じます。

giinyo:私がこのチームにジョインした時には、「何を作るべきか」「クライアントにとってどんな価値を生むのか」がほぼ明確な状態でした。エンジニアにとって、プロダクトの価値を確かめながらものづくりができる環境はすごくありがたいんです。すぐに「早くこのプロダクトを世に出したい」という気持ちにまでなっていましたね。

akky:二つ目は、最初から「スケーラビリティ」を意識しなかった点かなと。

——コンパウンドスタートアップは、事業拡大、すなわちスケールを見越して仕様検討する場合が多いですよね。

akky:そうですよね。ただ、最初からスケールした先を意識して、細々としたところまで作り込んでしまうと、開発のスピード感は損なわれてしまう。だからまずは、PMF(プロダクト・マーケット・フィット)させることに主眼を置くことにしたんです。

nari:もちろん良し悪しはありますが、まずは市場に出し、顧客からフィードバックを受けながら仮説検証を行っていく姿勢も重要だと思っています。

エンジニア 赤木(giinyo)

キーワードは「背中を預け合える信頼関係」。プロダクトづくりに集中できるRightTouchの環境とは?

——RightTouchが高速でプロダクト開発を進められる、最後の理由は何でしょうか?

akky:全員がプロフェッショナルであること、でしょうか。

「コンパウンドスタートアップの勝ち筋」として非常に重要なのが、「開発のスピード感」です。

その観点でいうと、メンバー一人ひとりがプロフェッショナルとしてミッションを果たす環境が当たり前にあるRightTouchだからこそ、実現するのではないかなと。


——全員がプロフェッショナル、というのは具体的にどんな場面で実感しますか?

akky:RightTouchは、意思決定のトップダウンとボトムアップのバランスがとても良い組織です。大きな戦略や外してはいけないポイントは、経営陣が中長期からバックキャスト(逆算)してしっかり決めますが、その幅のなかでの現場の自由度はとても高い。
今回も、冒頭に話した“(カスタマーサポート市場におけるコンパウンド戦略実現に不可欠な)絶対に押さえなければいけないデータ”を得ることができれば、どんなプロダクトとして実現するかは僕たちチームからのボトムアップで決められました。「データを押さえる」という観点で事業戦略との接合は作れていたということです。
コンパウンドスタートアップも様々なスタイルがあると思いますが、感覚としては、すでに細かくプロダクトロードマップが引かれており、作るプロダクトの枠組みがおおよそ決まっている企業が多いように思います。
スタートアップとして、限られたリソースをどのタイミングで何に配分するか、という経営判断は非常に重要ですが、全員が当事者意識を持って日々業務にコミットしているからこそ、こうした意思決定もスムーズに委ねてもらえたのではないかと思っています。

giinyo:手前味噌かもしれませんが、RightTouchにはakkyさんをはじめとしたクライアントと密な信頼関係を築き、プロダクトに対して深く率直なフィードバックを持ち帰ってきてくれるビジネス担当がいる。クライアントとのコミュニケーションは全面的に任せられるので、私たちエンジニアも開発に集中できるのだと思っています。

nari:チームとしてもバランスが良かったと思います。akkyは比較的楽観的にどんどん物事を前に進めていくタイプで、私はどちらかというとリスクを考えるタイプ。多様な視点を持ったチームかつ、各々をリスペクトしているからこそ、スムーズにゼロイチの開発ができたと感じます。

——ビジネス担当、エンジニア双方が強い信頼関係で結ばれているのがわかります。

nari:RightTouchでは「全員プロダクト担当、全員顧客担当」というバリューを大切にしています。役割に囚われず、事業成功にコミットしていくというマインドがあるんです。

だからこそ、クライアントへのプレゼンやミーティングには、私やgiinyoもできるだけ出席し、議論に参加するようにしました。

akky:ビジネス担当としても、クライアントとの打ち合わせにエンジニアも一緒に入ることで、要望や意見に対して「YES/NO」を即答できるのはすごく心強いんです。私が出したアイディアにも、すぐに仕様を書いて、技術的観点でフィードバックをくれますし。こうした環境で仕事ができるのはなかなか貴重ですし、とても嬉しいですね。

giinyo:回答や結論を持ち帰った場合でも、プロダクトへの実装は可能なのか、他にどのような選択肢があるのか、すぐにディスカッションを行いました。全員が同じ目的意識のもと、それぞれの役割に最大限コミットした結果、このようにスピード感を持った開発ができたのだと思います。

——RightTouchではビジネス担当、エンジニアが互いに背中を預けられる関係だからこそ、高速のプロダクト開発ができるのですね。貴重なお話、ありがとうございました!

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(ライター/安心院 彩(フリーランス)  取材・編集/緒方 祥子(フリーランス))