実装はAIに、人間はどこで価値を出す? ── AI時代のプロダクト開発を語った「Product Engineer Session #8」開催レポート

Product Engineer Session #8の会場の様子

2026年5月21日(木)、Product Engineer Session #8 を開催しました。

Product Engineer Sessionは、単なる技術共有の場にとどまりません。ユーザーに価値を届けるためのフルサイクルの活動の中で得られた知見や気づきを共有し合う場です。

第8回となる今回は、RightTouchオフィスのイベントスペースでの開催となりました。昨年3月から始まったPESも今回で第8回。

エンジニア的にもキリの良い数字で、雨の日にも関わらず多くの方にお集まりいただきました!

セッション2本+LT1本という構成で、「AI時代のプロダクト開発」を共通テーマに据えた回となりました。

当日レポート

今回はセッション形式の発表2本(15分発表+5分質疑)と、LT1本(10分+5分質疑)という構成で、AI時代のプロダクト開発をテーマとして3名の方に発表していただきました。

セッション1: AI時代におけるプロダクト開発のあり方を考える / 明里慶祐さん(株式会社UPSIDER)

「AI時代におけるプロダクト開発のあり方を考える」の発表の様子

株式会社UPSIDER Card基盤本部のCard基盤部でテックリードを務める明里さんによる発表です。ハーネスエンジニアリングやForward Deployed Engineerといった新しい概念が次々登場するなかで、結局エンジニアはどう動くべきなのかという問いに、真剣に向き合った内容でした。

  • 従来のエンジニアの守備範囲は「設計・実装・レビュー・デリバリー」が中心。AI時代には実装やレビューが自動化される一方、仕様詰めから品質保証・デリバリーまで責任範囲が広がるという整理。
  • 業務フローを「仕様詰め・設計・実装・レビュー・テスト・デリバリー」に分解し、それぞれ「AIで自動化できる作業」と「人間が責任を取るべき判断」を切り分けて分析。
  • AI時代に求められる3つの力として、「価値ある仕様を検討する力」「プロダクトに適した設計へ落とし込む力」「自動デリバリーパイプラインを構築・運用する力」を提示。
  • チーム構成については、PdM・フロントエンド・バックエンドといった細かな分業は薄まり、プロダクトエンジニアがQAやSREの役割も一定担う体制へとシフトしていくという予測。
  • 実現のために必要なエンジニアリングとして、業務の標準化・ハーネスの整備・QAの自動化の3点を挙げ、特にビッグテックが公開しているノウハウを早期に取り入れる重要性を強調。

「プロダクトエンジニア+QA+SREの総合を目指す」という提言は厳しい道のりではあるものの、AI時代にエンジニアが生き残るための一つの羅針盤として、非常に示唆に富む内容でした。

セッション2: 湯葉を取り出すようにAIに意図を伝える / 矢澤学さん(株式会社RightTouch)

「湯葉を取り出すようにAIに意図を伝える」の発表の様子

RightTouchでプロダクトエンジニアを務める矢澤さんからは、「湯葉を取り出すようにAIに意図を伝える」という「どういうこと?」と思わせる引きのあるタイトルで発表していただきました。

2025年10月にRightTouchへ入社し、QANT WebおよびQANT Webエージェントの開発リードを務めるなかで考えてきた、AI時代における「意図の伝え方」についてのお話です。

  • AI時代でも「何を作らないか」をソリッドに保つことの重要性は変わらない。むしろ複雑性が増すほど、開発スピードは二乗・三乗で落ちていく。
  • 豆乳から湯葉を取り出すプロセスをメタファーに、「コンテキスト(解像度の高い情報)を注ぐ → AIと壁打ちして煮詰める → 実装意図を言語化して取り出す」という思考プロセスを表現。
  • プロダクトアウト(汎用化が必要)とマーケットイン(特定業界特化)で、解像度を高めるインセンティブが異なるという指摘。カスタマーサポート領域に集中するRightTouchでは、解像度がそのままプロダクト品質に直結しやすいという整理が印象的でした。
  • 「作らない」の精度を高めるための逆説的なアプローチとして、「AIでたくさん作って、捨てる」を提案。ゼロイチが速くなった今だからこそ、作って改善するサイクルを高速で回し、「作りきったけど違った」という知識まで含めて意思決定の材料にするという考え方。

「実装意図を言語化してAIに正確に伝える」というメッセージを、湯葉という独特のメタファーで表現する構成は本当に印象的で、抽象的な話を一つの絵で記憶に残す力を感じる発表でした。

質疑応答では、AIによって「作って見せる」提案の試行錯誤がしやすくなったことや、顧客フィードバックを活用したAIエージェントによる事前検証の可能性などが議論されました。

LT: 「隣のあいつの Claude」は、なぜ強いのか / 牧野さん(Coadmap)

「隣のあいつの Claude」は、なぜ強いのかのLTの様子

最後のLTは、高校2年生で起業し、現在はAIを活用したプロジェクト管理ツール「Coadmap」を開発する牧野さん。

「同じClaudeを使っていても、なぜ成果に差が出るのか?」という、SNSや社内でもよく話題になるテーマへ切り込みました。

  • 成果を出す人と出ない人の差は、「なぜ・何のために」をAIにしっかり伝えているかどうか。作業依頼書ではなく、目的・背景・期待アウトカムを渡すことが鍵。
  • プロダクトエンジニアの仕事は「Whyに向き合って顧客価値を作ること」。ディスカバリーから関与し、Whyを保持したままデリバリーまで進めることが価値創出の本質。
  • 現代企業では「なぜ」の情報がSlack・ミーティング・GA・CRMなど様々なツールに散在している。これをMCPなどでうまく繋げる仕組みを持てるかどうかが、個人・チームのAI活用力に直結する。
  • Coadmapで実践しているナレッジ共有の仕組みとして、Claude Code Marketplaceで配布可能なスキル・ナレッジ管理、MCP連携によるWhyの時系列記録、週次でClaudeセッションからナレッジを吸い上げて更新するフローを紹介。
  • 「なぜ配り」という社内用語を使い、Whyをチームに継続的に配り続けることで、新メンバーが参加初日から既存メンバーと同じアウトプットを出せる状態を目指している。

「金曜日はコードを書かない日にして、振り返りに専念する」という運用の工夫も非常に具体的で、個人のAI活用を仕組み化してチームに還元するというアプローチがとても参考になりました。

懇親会

登壇後はそのまま懇親会へ。今回も登壇者と参加者の距離が近く、AI時代のプロダクト開発について熱い意見交換が随所で行われていました。

エンジニア、PdM、EM、デザイナーなど職種の垣根を越えて、プロダクト価値について語り合える場になっていたのが印象的でした。22時頃の解散予定を超えても、しばらく盛り上がっていました!

懇親会の様子

コミュニティ・お知らせ

PESに関連するコミュニティ・コンテンツも拡充中です!

Discord「Product Engineer Hub」:PES当日にはイベント専用チャンネルを開設しており、登壇者への質問や感想を投稿いただけます。プロダクトエンジニア業界全体のハブを目指して運営しています。

discord.gg

YouTubeチャンネル「Product Engineer Session」:過去回の動画を公開しています。今回の動画も後日公開予定ですので、ぜひチャンネル登録をお願いします。

www.youtube.com

プロエン君LINEスタンプ:マスコットキャラクター「プロエン君」のLINEスタンプができました!「作ってから考えよう!」「バグです」など、汎用的(?)に使えるスタンプが揃っています。

store.line.me

次回開催について

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次回Product Engineer Session #9の開催が決定しています!

LTも募集していますので、プロダクト開発に関する知見を共有してみませんか?

  • 日時: 2026年7月16日(木)19:30〜
  • 会場: RightTouchオフィス(東京都品川区西五反田4丁目31−18目黒テクノビル2F)
  • イベントページ: Product Engineer Session #9

Product Engineer Sessionは2ヶ月に1回のペースで開催しています。次回開催の詳細が決まり次第、connpassおよびXのアカウントでお知らせしますので、ぜひフォローをお願いします!

おわりに

改めまして、発表者の皆様、参加者の皆様、本当にありがとうございました。

AI時代にプロダクトエンジニアはどう動くべきかを、それぞれ違う角度から語っていただいた今回。「責任範囲の拡張」「解像度と意図の言語化」「Whyの仕組み化」という3つのキーワードは、どれも明日から自分たちの現場でも取り入れたい示唆ばかりでした。

今後もプロダクトエンジニアが集い、現場の知見を持ち寄れる場として運営を続けていきますので、引き続きよろしくお願いします!

採用情報

RightTouchでは、Product Engineerをはじめ、プロダクト価値を一緒に育てる仲間を積極採用中です。カジュアル面談も歓迎しています。ご興味があれば、ぜひ採用ページをご覧ください。

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