リリースはゴールじゃない!プロダクトの価値を届けきるために ── 1周年を迎えたProduct Engineer Session #7 レポート

Product Engineer Session #7の会場の様子

2026年3月12日(木)、Product Engineer Session #7 を開催しました。

Product Engineer Sessionは、単なる技術の共有にとどまらず、ユーザーに価値を届けるためのフルサイクルの活動の中で得られた知見や気づきを共有し合う場です。

昨年3月にスタートしたこのイベントも、ついに1周年を迎えました! より良いイベントとなるように頑張っていきますので、今後ともよろしくお願いします!

第7回となる今回は、2026年2月に移転したRightTouchの新オフィスでの開催となりました。初参加の方もリピーターの方も多く集まり、2本のセッションと懇親会を通じて活発な交流が行われました。

今回のセッションは事前の打ち合わせなしにもかかわらず、2本とも 「リリース後にプロダクトの価値をどう届けるか」 という共通テーマに収束する内容で、まさにプロダクトエンジニアにとって本質的なテーマが揃った回となりました。

セッションレポート

セッションは15分のトーク+5分の質疑応答の形式で、2名の登壇者にお話しいただきました。

作ったのに使われなかったを繰り返さないために / 松尾翔平さん(株式会社hacomono)

セッション1の様子

hacomonoでプロダクトエンジニアを務める松尾さんからは、半年かけて開発した機能がほとんど使われなかったという悔しい経験と、そこからチームがどう変わっていったかをお話しいただきました!

  • 当時の開発フローはPRDベースで仕様通りにリリースすることがゴールとなっており、「誰がどう使うか」の顧客目線が不足していた
  • 原因を深掘りした結果、予約機能の仕様やDBスキーマには詳しいものの、顧客体験としての解像度が低いと判明
  • 「そうだ、現場に行こう」を合言葉に、展示会への参加やエンジニア自身がジムを体験するアクションを実施
  • 開発メンバー3人でマシンピラティスに行った際、予約のUXでの気になるポイントを実体験できた

具体的な開発事例として、ダブルブッキング制御機能のエピソードも紹介されました。当初はダミーユーザーで予約を埋める仕様が提案されましたが、「お客様にダミーユーザーの作成を強いるのは仕様の都合を押し付けている」とチームで立ち止まり、最終的にシンプルなフラグ管理による制御に変更したとのことでした。

この機能は現在約250環境のお客様に利用される成功事例となり、ビジネスサイドからも「痒いところに手が届く」「手作業が減った」といった声が届いているそうです。

松尾さんはまとめとして、プロダクトエンジニアのあり方を3つ挙げました。

徹底的に顧客目線であること、アウトカムを意識すること、PRDを課題の種と捉えて大きく花咲かせること

AI時代で機能を高速に作れるようなるからこそ、「この機能でどの課題が解決されるのか」を定義する力がエンジニアに求められるという言葉が印象的でした。

RGBに陥らないために ─プロダクトの価値を届けるまで─ / bossyさん(株式会社RightTouch)

セッション2の様子

RightTouchのbossyさんからは、RGB(Release Goal Bias)—リリースを仕事のゴールだと錯覚してしまう認知バイアス— という独自のキーワードを軸に、チェックポイントレポート機能の開発エピソードをお話しいただきました。

  • QANT Webのチェックポイントレポート機能は、ビジネスメンバーへの徹底的なヒアリングとクライアントへのプロトタイプ検証を経て開発を進め、「心からいい機能だと確信して」攻めたリリース日を設定
  • リリース後、社内の反応は良好だったものの、事前に作成していたモニタリングダッシュボードを見ると 実際の利用率は伸び悩んでいた
  • 原因はプロダクトの不備ではなく、デリバリー設計の不足。新しい価値を提供するレポートだったため、クライアントの既存運用に組み込まれておらず「いつ見るのか、何の判断に使うのか」が定義されていなかった
  • ビジネスメンバーと連携して部署ごとにユースケースを定義し、オンボーディングや定例でのインプットを設計。さらにクライアントインタビューでフィードバックを収集し、3ヶ月で6件の改善をリリース

これらの取り組みの結果、チェックポイント機能の利用率は約30%から70%まで向上し、QANT Webの重要なレポートへと成長しました。

bossyさんはFeature Adoption Framework(Awareness・Motivation・Abilityの3要素)を紹介しつつ、プロダクトエンジニアの仕事の価値は 「創出価値 × 到達率」の掛け合わせ であると定義しました。

リリースで終わらず、ユーザーに価値を届けきる能力がプロダクトエンジニアの実力に大きく関わってくるというメッセージで締めくくりました。

質疑応答 / 飛び入りLT

両セッションの後には多くの質問が飛び交いました!

エンジニアが顧客インタビューを実施する難しさに複数の参加者から質問が寄せられ、hacomonoの松尾さんからはCS・ビジネスサイドが持つ一次情報を活用しているという回答がありました。RightTouchではエンジニアが商談やインタビューに同席する文化があり、クライアントも協力的な土壌が整っているとのこと。

また、機能の要件をどう削るか(スコープ管理)や、顧客価値志向をチームに定着させるための再現性についても議論が交わされ、「小さな成功体験を積む設計」がチームの意識を変えるきっかけになるという示唆がありました。

さらにDiscordから飛び入りLTの申し出もあり、参加者の積極的な姿勢にイベントの熱量を感じる場面も!

飛び入りLTの様子

飛び入りLTでは 「あなたの目、節穴じゃありませんか?」 というドキッとするフレーズから始まり、仮説検証で陥りがちな認知バイアスの罠についてお話しいただきました。

懇親会

懇親会では登壇内容を起点に参加者同士の会話が弾んでいました。

エンジニア、PdM、EMなどプロダクト開発に携わるさまざまな職種の方々が 「プロダクトの価値をどう届けるか」について語り合う姿が印象的でした。

懇親会の様子

今回も前回同様、解散時間を過ぎてもしばらく盛り上がっていました!

次回開催のお知らせ

次回Product Engineer Session #8の開催が決定しています!

LTも募集していますので、プロダクト開発に関する知見を共有してみませんか?

  • 日時: 2026年5月21日(木)19:30〜
  • 会場: RightTouchオフィス(東京都品川区西五反田4丁目31−18目黒テクノビル2F)
  • イベントページ: Product Engineer Session #8

ぜひお気軽にご参加ください!

おわりに

第7回のProduct Engineer Sessionは、「リリースはゴールではなく通過点である」という共通メッセージが強く響く回となりました!

hacomonoの松尾さんが語った「顧客目線の解像度を上げる」アプローチ。RightTouchのbossyさんが提唱した「RGB(Release Goal Bias)」の概念。どちらもプロダクトエンジニアとしてのあり方を改めて考えさせてくれるものでした。

Product Engineer Sessionは隔月ペースで開催を続けており、2年目に突入します。YouTubeチャンネルでも過去のセッション動画を公開していますので、ぜひチェックしてみてください!

また、Discordの「Product Engineer Hub」でも業界横断の交流をしていますので、お気軽にご参加ください。

改めまして、登壇者の松尾さん、bossyさん、飛び入りLTの猛者、そして参加者の皆様、本当にありがとうございました。

採用情報

RightTouchでは、Product Engineerをはじめ、プロダクト価値を一緒に育てる仲間を積極採用中です。カジュアル面談も歓迎しています。ご興味があれば、ぜひ採用ページをご覧ください。